近代美術館60周年


 
近代美術館へポロック展を観に行く。
小規模だが、良い展覧会だった。
 
個人的には「無題」とされた横長の、書(美術館はこれをカリグラフィーと説明する事によって、陳列の殊勲を反故にしている)に影響を受けた作品が興味深かった。ポロックが己の近代絵画の彼岸に垣間見たものが解ったからだ。
 
じつは、ここからが難しいのだが、それを分からずに混乱の中で亡くなってしまったのは可愛そうな気がした。
 
 
美術館を出る時に出入口近くで、六十周年記念の手帳がおいてあるのに気がついた。
表紙は1968年のダダ展のポスターからとったデザインだった。この展覧会は私が一人で見に行った初めてのもので、それまで印象派しきり知らなかったから刺激的だった。2、3回通ったのを覚えている。
  
しかし同時にそれ以後の西欧美術史の流れに疑問を持った。それが水墨画を描き出した私の原点だ。