栖鳳覚書2


 東京の近代美術館での栖鳳展も今日で終わった。

 栖鳳をはじめ、明治期の芸術家は、日本の伝統と西欧の伝統を共に学んでいる人が多い。
 この傾向は戦前までは続いたように思える。
 
 しかし、今では伝統の多くが失われたと考えた方が良い。
 敗戦国の定めで、日本の伝統文化はほとんど顧みられなくなったのだ。
 
 私の関係する日本画の世界では、その立脚点を、素材である岩絵具に求めていると云う話しまで聞く。伝統の捏造だ。
 おそらくは、それ以外に根拠を見出す事が出来なくなっているのだろう。
 
 栖鳳の絵画は、誰が見ても解るが、筆によって成り立っている。
 筆がわからないと、栖鳳の絵は、本当には解らない。
 今や日本人が、外国人の目で、日本画を見るようになっている。