11月27日付けの東京新聞に、村上華岳の「裸婦図」の写真があったので、目を引かれて石川翠氏の美術評欄を読んだ。
 近ごろ絶えて聞かないまともな日本画論があって、少しホッとする。
  
 日本画を、油彩と対峙する為だろうか、膠彩画と呼ぼうという話を聞いた時には、おちょぼ口の学者先生にも困った物だと呆れていたが、尻馬に乗った半可通に「今は日本画とは呼ばずに膠彩テンペラと呼ぶんですよ」などと教えられる羽目に至っては、絶望する他なかった。

 石川氏のような評論家がまだいることに、少しホッとしたのだった。