額屋を探して


 
今まで永年付き合ってきた額屋がだめになったので、新しい額屋を探して墨田区までやって来た。
チェーン店で珈琲を頼んだのだが、このあたりではの、独特の風があって面白い。しばしオバサンたちの会話に耳を傾ける。
 
しかし、額屋については諦めた。こうした社会状況では、これ以上を求める事はできないのだろう。
本来額には表具と同じような、高い美意識と知識、技術が要求されるのだが、そうした物が蓄積されていない。
とくに、私のような水墨画を描く者にとって、状況は厳しい。
絵の邪魔になる額ばかりなのだ。
 
水墨画は洋画とは異なる絵画言語をもちいているので、これを理解できない人には額も作れないのだ。
致し方ない。